
聖公会でランチタイムコンサートを味わった後、お昼を食べてから渋谷に戻り、来るときに駅で見かけた
ギュスターヴ・モロー展に直行しました! オーチャードホールなども併設されている
Bunkamuraが会場です。渋谷はめったに行くことがなく・・前回行ったのは、オペラ鑑賞のためでしたっけ。たまにヤマハで楽譜をのぞいたりとか、私の東京での滞在はいつも音楽か教会からみかも。r(^_^;)
初めての渡仏旅行の際、オリヴィエ・
メシアンゆかりの
トリニテ教会を訪れました。ファンではなければ訪れないような、決して大聖堂ではないのですが上品で小宮殿のような聖堂の魅力にいっぺんで取りつかれてしまいました。控えめな美しさに、うっとりと思わずため息がもれます・・。そのため息までもが美しいような錯覚におちいるのでした。この教会はまた、フランスの名器カヴァイエ・コルのオルガンがあることでも知られています。
メトロのトリニテ駅近くに、モローの生家でもあり現在は美術館になっている一角があります。旅のパートナーMさんはモローを観たかったようで別行動でいそいそと出かけたのですが、最初の旅行ではまだあまり絵画に明るくなかった私は教会巡りを優先させて(この時は、ヴィドールゆかりの
サン・シュルピス教会へ行きました)何故か行かなかったのでした。その後「やはり行こう!」と思って行ったときには閉館時間か休館日で、大変後悔しました。そして今もまだパリ旅行時はその美術館には訪れていません。
日本でモローが観られる!ということで、ブリジストン美術館でシャガールを観るという予定を変更してそちらにしました。
いくつか観たかった作品が全て展示されていたわけではないのですが、それでもモローの素晴らしい作品の一端に触れて、彼の不思議なエネルギーにハートがわしづかみにされてしまったように思います。
モローは耽美的な絵画を多く描き、19世紀末絵画を代表する画家と言えます。作品の妖艶さに強く惹かれつつも、どこか反発も覚えつつ・・というのがこれまでの自分のスタンスでした。展示の最初には彼の20代の頃の自画像がありましたが、瞳の淡く深いブルーの透明度には何だか吸い込まれてしまいそうで、それはまた彼の作品全体に共通しているようにも思えました。
今回間近で彼の作品を鑑賞し、幻想的な世界を描くために実に多数の習作をスケッチしていることが理解できました。その勤勉さは、これまで抱いていた作者像を心地よく裏切るもので非常に好感を抱きました。まるでつい先ほど描き上げられたかのような油絵のリアルなタッチと、それに対して習作の水彩画は大変淡く・・個人的には水彩画が気に入りました。
有名なバプテスマのヨハネとサロメの連作の一部「
出現」も展示されていましたが、近くで接してみてこれまで本や印刷では分からなかった新たな発見がありました。
この作品は途中で中断され歳をとってから加筆されたそうですが、後から加えられた建築物のアラベスク風の書き込みによって実に空間が立体的に見えるのです!
「サロメ」の物語は多くのアーティストを刺激して、
オスカー・ワイルドの戯曲、
ビアズリーの絵画、リヒャルト・シュトラウスの
オペラ、スティーブン・バーコフの舞台・・など実に様々な表現で作品化されていて、いずれも大変芸術意欲をそそられるのです。
私がものすごく観たかった作品のいくつかは今回は展示されていませんでしたが、やはりこれはパリで観たい! 再びトリニテ教会を訪ね、その後にモローと再会したいのです。